TAS5630PowerAmpBoardの製作
今さらサイズのことを云々いうのはやめましょう! とにかく小さいんです! これに150W級のアンプが4つも・・・・・ ICちっぷ一個¥1101-なり。 |
単一50Vの電源で動作する150W級のスイッチングパワーアンプがワンチップに4つも内蔵されている高性能アナログ入力デジタルパワーアンプICです。
内蔵された4つのパワーアンプは接続の仕方によって、
- シングルエンドアンプ×4ch
- シングルエンドアンプ×2ch + BTLアンプ×1ch
- BTLアンプ ×2ch
- PBTLアンプ ×1ch
と、4通りの使い方ができます。
それぞれの出力は歪率が1%の場合、
- シングル 110W/ 4Ω ( 75W/6Ω , 55W/8Ω)
- BTL 240W/4Ω (160W/6Ω , 125W/8Ω)
- PBTL 480W/2Ω (310W/3Ω , 230W/4Ω)
で、歪率10%のクリッピング状態での場合に謳い文句のごとくPBTL接続時2Ω負荷で約600Wの出力を誇ります。
TAS5630は、PurePath™ HDと呼ばれる閉ループ帰還技術を 内蔵しています。
PurePath™ HD技術により、通常のClass-Dアンプの電力効 率を保ちながら、従来のABアンプに匹敵する性能レベル(THD: 0.03%未満)を達成できます。
従来のClass-Dアンプと異なり、歪特性曲線が悪化するのは、 出力レベルがクリッピング状態になったときだけです。
PurePath™ HD技術によってアイドル損失が低減するため、 デバイスの効率はさらに向上します。TAS563x用にTIが提供す るClass-G電源基準設計と組み合わせることで、業界最高レベ ルの効率を実現できます。
TAS5630は、PurePath™ HDと呼ばれる閉ループ帰還技術を 内蔵しています。
PurePath™ HD技術により、通常のClass-Dアンプの電力効 率を保ちながら、従来のABアンプに匹敵する性能レベル(THD: 0.03%未満)を達成できます。
従来のClass-Dアンプと異なり、歪特性曲線が悪化するのは、 出力レベルがクリッピング状態になったときだけです。
PurePath™ HD技術によってアイドル損失が低減するため、 デバイスの効率はさらに向上します。TAS563x用にTIが提供す るClass-G電源基準設計と組み合わせることで、業界最高レベ ルの効率を実現できます。
今回の製作での電源は当面の間、市販のスイッチング電源モジュールで間に合わせるつもりですが、ゆくゆくはClass-G電源基準による専用に設計された電源も製作したいと思ってます。
”TAS5630PHD2EVM”
TAS5630PHD2EVMはTAS5630のBTLとPBTLを評価できる基板です。
残念ながらシングルエンドには対応していません。
サイズは95mm×140mm。
とにかく小さいです!
テキサスインスツルメンツのホームページにTAS5630PHD2EVMのガーバーデータが公開されているので今回はそのデータでPCBを発注し、パーツをかき集め製作します。
ちなみにこの評価基板、購入すると¥42,015-なり。
つくるしかないよね・・・・・・(汗)。
PCBを発注する際に気をつけることは、銅箔が一般的な1オンスよりも分厚い2オンスで注文することです。
SilverCircuitsに発注したところ最少発注数の4枚で送料込み$115,00-でした。
”ヒートシンクの段取り”
ほとんどのパーツは入手性のよいものばかりですが、ヒートシンクだけは特注して自分で用意しなければなりません。
データシートで指定されているヒートシンクは下図の通りです。
『マルサン・レックス』の中形ヒートシンクで型番『F40F』が素材として良さそうです。(Fig.2)
TAS5630EVMのデータシートのヒートシンクを参考にJWCADで図面を引き直してみました。(Fig.3)
この図面のDXFデータを入れたジップファイルを添付して、マルサンレックスにメールで問い合わせてみます。
少量の注文なので生産に応じてもらえる確立は低いですが、今、問い合わせの返事待ちの状況です。
”インダクターの段取り”
最終段のローパスフィルターを構成するコイルも自作しますが、こちらは入手しやすいパーツでつくれます。
マイクロメタル社のカーボニール鉄コアのT94-2(¥252_@サトー電気)にφ1.0mmのポリウレタン銅線を29回巻きつけるだけですが、4つ作るのは、若干めんどくさい作業です。
出来上がったコイルの定数は7μH/5A/30mΩです。
”パーツを取り付け、いよいよ完成!(ヒートシンクを除けばだけど)”
発注していたPCBも、DigiKeyに注文していたパーツも到着したので早速組み立ててみました。
小さな面実装パーツのはんだ付けはなんともストイックな作業ですが、自己を『無』にしてもくもくとハンダ付けです。
ほとんど『禅』の境地です。
レギュレーターTL2575と1mHのインダクタはハンダゴテでは付けられないのでホームセンターで売ってる500Wのハロゲン灯を密接させ加熱してリフローしました。
ヒートシンクを除きほぼ完成状態のTAS5630EVM |
”ヒートシンクないけど、鳴らして見る。”
ヒートシンクが未装着とはいえここまで完成しちゃうと鳴らしたくなるというのが、人情、ですよね。
小さな音量なら大丈夫でしょう。
加熱しすぎる事態になったときは温度インジケーターのLEDで確認できるので、そのLEDが点灯した時点で音量を下げればいいでしょう。
デバイスの温度が155℃を越えると強制的にシャットダウンもされますしね。
TAS5630EVMには空冷ファンのための電源端子も用意されています。
秋月で買った4cmの空冷ファンをICチップに向けて実装しました。
電源はとりあえず30Vのスイッチング電源。
TAS5630のほんちゃんの入力電圧は50Vなので、30Vはその6割といったとこでヒートシンク無しの状況では妥当な入力電圧ですね。
ケースに組み込んだTAS5630EVM。 小さな空冷ファンはちょこんと乗っけてるだけだが、あるのとないのとでは大違い。 この空冷ファンはベアリング入りなのでほぼ無音で回転します。 |
電源を投入したところ一発で動作しました。
涙が出そうなほどうれしいです。
アンプ製作歴3年ぽっちのぼくがトータルで600Wもの大出力アンプを作れたのですから、テキサスインスツルメントに感謝です。
無事動作したとは謂えまだマックスまでパワーを入れられないわけで、最終的な評価はヒートシンクが取り付けられてからですね。
それにしても小音量での試聴の感触は結構イケてる感じです。
AB級に匹敵する性能レベルというのもうなずける、自然な音がします。
"TAS5630 600Wパワーアンププロジェクト<2>">>